無音域/A道化
 






無数の雪の投身
その微かな高音
その消失跡には
無数の無音です


外套の毛羽に沿い 覆い
潅木の微妙に沿い 覆い
歩道の段差の詳細を隠しながら
歩道の段差の余地を残し 覆い
道端にて骨の露出したものを未だ傘と認め
道端にて露出したその骨の形を守り 覆い


白を投げ打つことで
形をその形に知らせ
形をその形に知らせる為 
ああ 殉じるのは雪です


秘密のように隠された
わたしの為の余地にて
わたしは 利き腕を偽るようなぎこちなさに耽ることの出来る余裕 失くし
わたしは どこか遠いわたしに 無音に似てどこか遠くのしこりのみ 感
[次のページ]
戻る   Point(4)