死への苦痛を取り去る方法/麻草郁
 
 死は近づくものではなく、たどり着く場所だ。死に呼び名をつけるのなら、それは「完全な停止」と呼ぶことができるだろう。死者のまなざしは動くことなく眼前を見つめ続ける。前にも進まず、後ろを振り返らず、変わることなく。

 死への恐れは、僕たちが未来を想像することで生まれる。明日の朝、君はベッドの中で目覚めることができるだろうか?今日の夜、君は呼吸をしているだろうか?一時間後、脳の微細な血管が破裂して君の意識が永遠に途切れないと、誰が保障してくれるのだろう。

 だがしかし安心したまえ、君は死を知ることはない、なぜなら僕たちの生は感覚に属するが、死はその外にあるからだ。そしてその外にある死を、君
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