手向け(骨)(糸)(雪)(暁)/蒸発王
 
さない


路を登ると
湖が視界を包んだ

朝焼けが
この世の終わりに見えた

骨壷を取り出して
空に投げた
湖に投げ込んだ
あいつの銀骨は
白く光って
すぐに消えた

白銀に雲を照らして
水面に映って

銀暁が
私の
涙腺を打った


涙の匂いを
嗅ぎながら
あいつが死んでから
初めて
泣いたんだと
気づいた


許さない

許すものか

だから


忘れない

はためく黒いマフラーが
目の端で踊った






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