手向け(骨)(糸)(雪)(暁)/蒸発王
のは
空港
奇声をあげそうになった咽が引きつった
『彼女』は
いつもの不機嫌な顔で
英字新聞をめくり
親友は
ガンたれながら
煙草に火をつけてた
2人の間は
一発触発のムードで
声をかけると
親友は天の助けだとばかりに
飛び上がり
僕は
彼女への挨拶もそこそこに
自販機の前まで
親友に連れてこられた
『彼』が
亡くなった
と
飲み物を選びながら
親友は言った
残された『彼女』は
『彼』の遺言に従って
『彼』の遺骨を
遠くの海へ撒きに行くのだと
言った
俺は見送りだ
ガゴン
無糖ブ
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