手向け(骨)(糸)(雪)(暁)/蒸発王
 
たまま


火葬場までの車が一緒だった

俺が運転して
あの女は助手席だった

半端な人数だったから
車の中は俺とソイツだけだった
タバコが苦手だと知りつつも
嫌がらせで
俺はタバコをザクザク食らった

煙が充満しても
あの女は眉一つ顰めない
咳一つ漏らさない

学生時代
ダチと俺を怒鳴りつけた
『どアホ』
怒号も発さず


火葬場に
着いた


蝋燭みたいな
匂いの中

寝台にぶちまけられた
ダチの
骨は

白というよりも
銀色に見えた

その時

俺の横にいた
あの女が
真っ白な細い指で
銀骨を掴んで


[次のページ]
戻る   Point(3)