きんぎょ・かめ・うさぎ/こん
「きんぎょ」
かすかに覚えている
ものごころついたとき洪水があって
まだ泥だらけの
でも復興しかけた町で市(いち)がたって
母に手を引かれ買い出しに行った
長靴が泥でじゅぽじゅぽ
ふと姉が排水溝に赤い金魚を見つけた
洪水で金魚屋から流れてきたらしい
「これ、飼うの」と姉が言い張り
我が家の初めてのペットになった
灰色の泥の中の赤い金魚
その後何匹も金魚を飼ったが
最後まで生きていたのはその金魚
8年生きたよ
「みどりがめ」
おまつりで買ってもらったミドリガメ
逃げ足が早くて
(カメは足が速い、と吃驚したものだ)
油断す
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)