飴をなめるおとな/一代 歩
思い出の中に存在し続ける鏡台のまえ立ち並ぶ瓶
香水をつけたことすらないころに描いた香りを飴にみつける
花もよう飴をなめててよみがえる憧れの味安っぽい味
大人ってつまらないよね。なんだって手に入るのに輝かないもの
毎日を繰りかえしては失ってつかんで離してひとつかゼロで
欲しいからだだをこねては泣きました涙のちからはもうここにない
恋、夢、愛、才、金、地位、人。欲しいものはだいたい二語で済んでる
プリキュアの魔法ステッキ欲しいのと大人の男に笑われたいの
とりもどすことのできない愛しさを噛んでくだいてこなごなの飴
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