真冬の線香花火/逢坂桜
 
何年か前、女友達に呼び出されて、花火をした。

派手ではないが、間近で見れる線香花火がすきだった。

冬の線香花火は―。

暗闇の中、その小ささ故に、なおいっそう、さびしげに見えた。

花火が照らした彼女は、手元の線香花火を見つめながら、どこか遠くにいた。

あの夜、僕が彼女に抱いた感情はなんだったのか。

いまもつかみきれないまま、その後、会うことはなかった。

戻る   Point(2)