窓辺で/落合朱美
頬杖をついて
空ばかり見ていた
流れながら
形を変えてゆく雲とか
鳥が黒い点になって
吸い込まれてゆく姿とか
指先でペンを回す仕草を
無意識になんどもしていて
ときおり弾いて床に転がしては
我に返った
決められた時間の枠の中で
頭に知識を詰めこまれては
流して
決められた髪形とスカートの長さを
ほんのすこしはみ出すことで
戦う自尊心
潰した学生カバンには
教科書は入らなかったけど
過ごした放課後のぶんだけ
星粒がキラキラと瞬いていた
頬杖をついて
空ばかり見ている
ときどきそうして
あの頃の目線で
流れる雲を追いかける
星粒は変わらずにキラキラと
デスクトップに瞬いている
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