冬の旅人/
大覚アキラ
そんなわけで
行くあてもないおれたちは
足元の小銭を拾いながら
真冬の街角をとぼとぼと
歩き回るぐらいしかすることがないんだ
無遠慮な視線を巧みにかわして
無機物の保護色を纏いながら
自動販売機に寄り添うんだ
春がきても
何も変わらないことぐらい
もう十分わかっているけど
今はただ
この冬を越すことだけが
おれたちにとってすべてなんだ
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