君と僕と大舞台/和泉 誠
 
君は突然、高く美しい声で
僕の名前を呼んだ

君の優しい歌声に
うっとりしていた僕は
はっと我に返る

でも君は大舞台に立つ歌手で
僕はその中の一人の聴衆

どうして君が
僕の名前を呼んだのか?
その理由が見つからない

きっとそういう歌の歌詞なんだ
だから君は僕の名前を呼んだんだ

ちょっとだけ苦いため息をついて
僕はまた君の優しい歌声に
酔いしれようとした

君は突然、大きく澄んだ瞳で
僕の目を見た

君の美しい瞳に
うっとりしていた僕は
はっと我に返る

でも君は大舞台に立つ歌手で
僕はその中の一人の聴衆

どうして君が
僕の目を見つめるのか?
その理由が分からない

きっとそういう演出なんだ
だから君は僕の目を見たんだ

ちょっとだけ淡い期待を胸に
僕はまた君の美しい瞳に
酔いしれようとしている

その手に握り締めたファンレター
何十人もの警備員をくぐり抜けて
君に渡す事なんてできるのかな?

無理に決まってる
そう、もう一度
君がその手を伸ばしてくれなきゃ
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