君宛ての手紙/和泉 誠
 

急がなきゃいけない気がするんだ。
理由を尋ねられたら困ってしまうけれど。

正直言えば、あまり先が長くない気がするんだ。
だから一つでも多くのものを手に入れたいんだよ。
あんまり欲張ったら、その一つも手に入らないって
言われてしまえば返す言葉もないけれど。

でも君はその一つを必ず僕にくれると保証してくれるかい?
できないでしょう?いいんだよ別にそれでも。

実際今何が欲しいって聞かれたら答えられないんだ。
この世界にあるものみんな同じに見えて。
特別なもの探してるんだ。本当に特別なもの。
たとえばあの約束を交わした名前も知らない少女とか。
イニシャルが「M・Y」の
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