私を家から連れ出して/和泉 誠
朝起きてまず考えた事は
今日はどうやって時間を潰そう?
雪に閉ざされた小さな家で
私はただ考えた
時計の針が進んでも
私の時計が進まなきゃ
今日を生きてる意味がないの
あなたはいつものように
家の前を通り過ぎ
今日もチラリと私を見て
そして去っていく
何かをつぶやいて微笑んでくれても
厚い厚い窓に遮られているんじゃ
あなたが伝えたいこと
半分も聞こえてこないのよ
私の家には温かい暖炉がある
かわいいお人形やぬいぐるみ
優しいパパとママだっているわ
でも
朝から晩までずっと一緒にいたら
全然意味ないのよ
温かくもかわいくも優しくもないの
私の時計を進めてよ
ねえ
私を家から連れ出して
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