列車/紫音
早朝七時のラッシュアワー
すれ違う人波に
肩が触れ
過ぎ去っていく足音
交差することない視線
差し込む陽光
音もなく時を刻むオブジェに
理由などなく急かされる
届かない気紛れ
無機質な人影
警笛を鳴らし
風とともに消えてゆく列車
駅に群がる衆を挟み
平行線をあべこべに走る列車
そこに乗せる人もいれば
乗れずに残される者もある
追いかけることができても
すれ違うことができても
列車は
一つの場所には居られない
連結することはない
その先に後姿を見ても
暗闇を照らしてみても
その孤独は永遠にも感じられる
今日も列車は疾走する
やがて乗せるはずの人を待ちながら
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