バーバ子、朝吹く嘘帽子をかぶる、前に/バーバ子
 
もういいよ樹を植えるね寒くなって雪が降るの
だっておまえの太腿が寒そうに震えるからだか
ら喉からさらさらの砂があふれる街ばかり
時代になった
漏電する樹を植えるよなんで何それちゃ
かちゃかした目元の化粧
から降りつむおまえ
二重まぶたから発熱して雪かきして
まゆげにひそひそアリガトウ寒そうだよトウ
ガラシキノコマルゲリータカプチーノ全部混
ぜるとひたいのなかに渦巻いて刻まれる思い
出を前に目と目が合った線上見事なまでの中間点
で太陽が秒速のフィルムを焦がしてゆく真夏
の火曜から厳冬の水曜まで二時間ばかりの旅だったじりじりの街
砂漠してまなざしして
あふれ
奪われる風に吹かれ今おまえの太腿の上に
いると知る知って降りつむおおゆ雪をかきわけかき
わけ発熱するおまえの
太腿にもういいよネオン樹なんて
植えるね寒くなってかたくなに嘘くねくねした思考のひたいをガホンと
湯がいてしまう前に
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