ねこねこのほわいとくりすます/汐見ハル
 
こねこは
まなつにうまれたひよわなこねこで
すてられたこねこで
しにかけたところを
ひろわれたこねこで
あのひとの こねこに なって
あのひとの てのひらが
すき な
こねこで

なのに
くりすますにはゆびわを、と
あのひとはおんなのひとの
しろいゆびにくちづけてわらった

ねこねこのことを
わたしたちのこねこちゃん、と 
よぶ おんなのひと
ねこねこのなかで わたしたち とは
あのひと と ねこねこのことだったので
ねこねこはおんなのひとにさわられてやらない
ねこねこはこれみよがしにあのひとになぜられて
のどをならしてみせつける
なのに いまでは

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