自分だけ地震 〈完成版〉/半知半能
この間から
ヘッドフォンで括った僕の世界は
なんだかひどく不安定で
1日1回
揺れる
大体震度2ほどの
初期微動
あれ
今揺れませんでしたか
いいえ
揺れたと思うと
その真偽を確かめるべく
電灯から吊るされた一本の白い紐を見る
ぴくりとも動かないそれの奥には
一体の着物をまとった紙人形
何も描かれないその真白い顔と
ふと
視線があってしまったように感じては
妙な気まずさを覚える
揺れてるのは僕だけなんだってさぁ
ただ
どこかで
誰かが僕を呼んでいるような気分
短い電信をキャッチして
僕の心が揺れる
そんな
夢だったろうか
一日一回きりの大きな鼓動が
今日も僕に生きろと
言っている
自分だけという
自覚が
必要である
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