いのち/唯川
 

はがれおちて

きのうのうちに
甘美な成長に去った
いのちよ

ひとくちの ミルク
しみこんでいく ひきかえに
ひとすじの いのち
をたくされます

いのちよ
なみだがへんにみぞれないようにしてきたんだ
新芽は氷を歓迎しないでしょう
雪解け水とあいまって
たくましきよわさの餌になればいい

リカがただの人形だったのは
0はやはり0だということ
おくせんまんある0の上に1をかぶせられないということ
それが命だということ

世界中のわたしが
わたしになるまで
せめて君だけは自然数でいてくれ
いのちよ
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