仲良きことは/吉岡孝次
何が大事といって
クリスマスの燭光ほど大事なものがあろうか
雪の降る朝
ああ 今日は早く帰らなければ と
背広の襟をピシッと揃える家長の意気込みほどの純情が他にあるだろうか
スリップを覚悟でサドルに跨る
これぞ父たる者の果たすべき「ヤ・ク・ソ・ク!」
見えなくなる前に見限って あれは大丈夫
などと無責任なことを言ってのけるのは母
ここらあたりから
だいぶ話がちがってくるけど
安心おし 昼頃から揺り戻しがあって夕刻には
父はパパになって帰ってくる
ケーキは後からね
などと重ねて問題発言をぶちかました母はまったくもって母
鶏(トリ)の腿肉で夕食を済ませようと企む
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