守られたもの/プテラノドン
 
舞台となった森は狭かった。
そのままの格好で、と狩人は言った。
少年が頭にのせていたリンゴは本物だった。
憎悪に燃える魔女の瞳。
ぐつぐつと煮立った鍋。
気味の悪い匂い。
眠れる森の―、その仕込みは完璧だった。
あの少年が、偽物とすり替えたりしなければ
そう彼女が指図しなければ―
眠り続けるはずだった女は、棺の中から
薄目であたりの様子を窺っていた。
すると一人の男がやってきた。
その場面には、ほとんど場違いな男が現れた。
私の王子様。彼女はそこでようやく安心して、
唇を許した。

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