鸚鵡のバラッド/狸亭
人真似の好きな天才稚な顔した細い目の
一羽の鸚鵡が髪ふり乱して沈思黙考の果て
遂に決意したのは消えてしまった空洞の
あの至高の権力者をまねること。かくて
長大な計画は練られ一流官庁企業をあえて
黙殺明治維新ならぬ平成維新目指して集まる
天下の秀才鸚鵡たち。錦の御旗を押し立てて
現世の不安に慄く真面目な愚民を引っ掛ける
カラーコンピュータゲームさながらの
極彩色の虚無は五十年前の神国のあの身勝手
わが理想実現のため家財道具一切合財貢ぎ物
あな健気やな食うものも食わず忠義立て
子供らは託児所に預け夫は前線へ妻は工場へ駆られて
若者たちは正義のために玉砕辞せずのモラ
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