24時間後/あまくちペルノ
にふたりは お互い何を願っていたのだろう
私はおわりをしってた
あなたがしあわせならそれでいいと
私じゃなく それだけはおねがいしますと
目をぎゅっと閉じて必死だったあの瞬間(とき)
最後にはいられた私のからだは
まるで人形のようにあつかわれ
はずかしいからみないでと照れたら
白い目をしていたあなた
あいと呼びたくなくなったから
さよならしたの
なつかしいね
今ではもう何もかもが色あせた
これを枯れ切った想い出と呼ぶのでしょう
すぐ傍に飾られたドライフラワーが
いつもより美しく見える朝
味の無いガムを噛み直すように
君との思い出を噛み直す
今になると美しい想い出
味のないようで甘いような
古びたキャンディのような
それでも今日みたいな朝は思い出す
とびきりの君との日々を
また オムレツが焼けたよ、と
君をちいさな声で呼んでみる
誰も答えない
がらんとしたフローリング
鮮やかさだけが取り残される部屋
ああ 今日だけきみに会ってみたい
今この瞬間だけは きっとまだ
あの日の24時間後
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