顔の調べ/こしごえ
 
鏡に映す)顔が白く仄めく
朝日の刻々と刻む音に
変容する影
どうしてか かなしくなる

私という生きものは、。
例えば(いけないかしら躍るように)、
昨日買った手鏡が、
私を映すというの
(私の顔は、私だけ躍動する

この世に二つとない記憶の海で
星の歌う季節のもとを
そぞろ歩くひとりのつぶて
軌跡で螺子(ねじ)の名残を伝える可動

チケットに日がさす
動物園で
四角い檻にいるのは誰
格子の空で
鳥が弧を描いている
大地は丸く遠く果てている波動

こちらである
という心境で
移ろう影を
水で浸してまどろみ微笑む



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