約束という思い出/和泉 誠
「一緒に飲みましょう」
シャンパンのボトルを片手にやってきた彼女
やさしいその微笑みに 僕の心は少しだけ揺れる
みんなの話そっちのけで僕らはお互いの事を語り合った
そして分かったのは 案外自分は立派だって事と
彼女の心は透き通るように澄みきっている事
彼女が眉間にかわいいシワを寄せて話す事は
完璧とか完全とか夢や理想の類で
それがあんまりにも純粋で、美しくて、温かくて
ああ、今すぐにでもその場で君の全部を食べてしまいたかったよ
腹ペコの魔法使い
そんなむきだしの欲望を無理やり黙らせて
僕は彼女に言葉を贈った いつか誰かが僕にくれた言葉
君は天使の心を持つ人だね
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