恋文/蒸発王
最期の最期で
酷いことをする私を
憎んで下さい
私は明朝に死にます
信じられないことかもしれませんが
ちょうど三年前
死神が枕元でそう言ったのです
死神は美しい人でした
自分の余命が三年ということよりも
その美しさに呆然としました
死神はうっそりと
貴方がよくするように笑って
この顔はお前の“運命の人”の顔だ
と言ったのです
死神は三年後迎えに来る
という言葉を残して
気がついたら朝になっていました
夢とは思えませんでした
そして一年前
貴方と出会い
あの夢が現実
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