てがみ/dendrocacalia
 
うしろを向いたままで 感じていること
下を向いたままで 目を上げられないとき
表ではきっと 何も起こっていない 何も変わっていない でも

君が置き換えられなくなってしゃべれなくなってドアを開けられなくなって
それからエアコンが壊れて『現実の中であたしだけ非現実なんて素敵でしょ』という素晴らしい文字を書いて
寒い冬の日に首を切ってもう、姿を見せなくなって からも

私は君をさがして約束をさがして夢を見たいと思ってた
鉄板の上で半目開いた君はまるで眠っているのかおきているのかわからないけど
きっと男の子の夢を見ているんだ 冬眠したまま起き上がれなくなったお魚のように

私はそれからも君に追いつきたくて
飲んだくれたり わざと知らないふりしたり 恋におちたりした
でも 地図が刺しているのは明らかに 私の心臓の方向 北へ北へ。
冬が近づくと悲しくなるけど春が来るのも溶けてしまう気がしてとても寂しい
君を知っている期間より君を知らないほうが長くなった
私は恋にたたきのめされたままで、他のみんなもそれぞれ、笑いあうふりをする遊びを思いついたんだよ。
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