帰郷/山内緋呂子
彼の生家へ行った
仏壇のある部屋に通された
彼の寝ていた部屋だ
私の寝ていた部屋には 通されなかった
彼の母の母に 手を合わせる
「最近髪がよく抜けます」と報告
彼の母が
「疲れただろうから少し寝なさい」と言う
彼はこの天井を見て寝ていた
私は寝られるだろうか
天井に「ごめんなさい」と言った
夕食の買い物に行く
家の近くの橋
昔通ったのは夏で
川なのに水がなく
草が生えて 大きな石があった
そこが気に入って撮った写真は
空が青くて
いつも暑い
彼の母が
こないだ事件があったので あの橋は通らないで行きましょう
と言う
私はある俳優のド
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)