子犬のワルツ/千月 話子
玄関先で可愛く鳴いた
多分 白い綿毛の小さなワルツ
昨日の残りの納豆巻きを手でわし掴み
走って探した
陽だまりの道
僕が好きなものを キミも好きだと思ってた
テーブル越しの 争奪戦
自転車の前かご
でこぼこ道で一緒に弾んだ
進んで行く飛行機雲を追いかけて
緑の公園まで
春の花咲く庭先で優しく鳴いた
きっと 白い綿毛の踊るワルツ
ポツンポツンと歯型の付いた
ピンクのボールをわし掴み
高く放った
キミの場所へ
僕のやる事を キミもやってみたいと思ってた
半円を描きキャッチボール
陽が沈むまで
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