マルセイユの傷/英水
それは周辺の
ルート19はいくつかの人で溢れた湾を通り過ぎ
最果てのような終着駅で小型バスへと繋がる
集落の丘を越え、一息つくとカーブへと向かう
そして視界が開け、海と丘がぶつかる
白い波 空へとさらわれた入道雲
海が騒ぎ出した
そのノイズに、君が一瞬かすれる
波と雲に隙間がある
その隙間に沿って、バスの軌道はシュプールを描き出し
揺れている
右へ
左へ
カーブ
君は振り回され、声をあげ、僕にしがみつき
アニエスの麦藁帽子と、ボルビックが
君の異議申し立てに賛同を申し立てた
カーブ
君の白い踵がタクトを踏むと
自分を見失った岩が
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