フラグメンツ #91〜100/大覚アキラ
 
トクリームが
 スローモーションで
 落ちてゆくよ
 ゆっくりとゆっくりと

 噴水は
 光り輝くシャンデリアになる

 おまえなら
 できるだろう



#99

 ぼくの生まれた町は
 日本海に面した小さな町で
 高度経済成長の頃は大きな化学工場があって
 街の男たちの大半がそこで働き
 映画館や商店は活気に溢れていた

 二十年以上前に工場が閉鎖されて
 町はあっという間に寂れてしまい
 今では当時の面影はまったくない
 商店はどこもシャッターを下ろしたままで
 映画館は廃墟と化し
 まるでゴーストタウンのようだ

 町外れには操車場があって
 夜中になるとコンテナを載せた車両が
 次から次にやってきて
 連結作業は夜通しおこなわれる

 寝静まった真っ暗な町に
 レールの上をゆっくりと滑る列車の音と
 車両どうしが連結する時の
 叩きつけるような金属音だけが
 延々鳴り響くのだ



#100

 終わりなんて
 どこにもない
 あるのは
 出口だけだ
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