酔い醒めのバラッド/狸亭
 

目からとおくなれば心からもとおくなる
そんなことははなから知っていた
日毎の天災やら人災やらのセンセーショナル
めまぐるしい張り子の国で半年すぎた
乱読につぐ乱読で本ばかり読んですぎた
地球の生成から消滅までの感動的な物語すら
きれいなTV画像の中では一時間でおわった
天地創造から四十五億年の現在の修羅

しかしてこの天地もあと十億年でなくなる
とのご託宣だがこの数字は胸にひびいた
けむる混沌の中ににげこもう桜咲く春
金のきれめが縁のきれめで酔いが醒めた
いやもともとそんなに酔ってなんかいなかった
似非唄のような人道主義にかくれてたまゆら
紅潮したあげくのふたすじ
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