冬、寒い、雨/F (from send-ence)
降らないこの街で君が雪に名前を付けることはなかった
君に名前をもらった雨はどこかの空で雪として降っているかもしれない
空は続いている
君を思い出す
昨日の空
アンドリューはどこかへ行ってしまったようだ
今日の空には君の名前を付けようと思う
雨が降っていた
カラカラの空気が一気に重みを増す
冬にはいつも寒いと言っていた君を思い出す
最初に頬に当たった雨粒に君の名前を付けたかったが
空が困ると思ったので君の好きだった言葉をあげる
冬になるといつも寒いと言っていた君は
僕の名前はずいぶん前に忘れたようだった
僕の名前はどこへ行ったの?
君は言った
見えないものに名前は付けないの
冬になると寒い寒いといつも言っていた
君の最後の言葉は
寒い
だった
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