駄々、瓦解/A道化
分離、分離、分離、そして、分離
静かなる透析の果てに
冬が、あり
眼球を、振り切る
圧倒的に、眼球を、振り切る
赤のみ知っていれば許される踏切のサイレンの赤の拡散、拡散、拡散
ビルディングのコンクリートの壁の上昇、上昇、上昇
急ぐ足が靴底から失う熱の放射、放射、放射
街路樹の際限なき枝の分岐、分岐、分岐
それでも、全ては
冬の視線の冷却により微かに攪拌されたに過ぎず
取るに足りない、澱で
ねえ、
滅菌された瓦礫を美と呼ぶのが正当ならば
冬を突き詰めてゆくことで辿り着く塩素を幸福と断定してくれ
徹底した透析の果てに冬がありそうしてその漂白景色に見出せる幸福がある、と
どうか、幸福だと、幸福が在ると、どうかそう断定してくれ
ああ
静かなる透析の果てに
冬が、あり
私、微かなる音立ててこねる、駄々、駄々、駄々
ああ、ああ、瓦解、瓦解、瓦解
そして、瓦解
それでも
その私も
取るに足りない澱なのだろう
2004.1.17.
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