愛の不毛(鯖の味噌煮)/ZUZU
然のお魚など
食卓にのぼることはなくなるらしい
丘の女の子も
みな誰かの網にかかったのだろう
ぼくの網は底が抜けているのだろう
しかたがないさ
ぼくの気の弱さやおもいやりなど
ずるさや卑怯さの
形の違う表れでしかないのだ
それをよく知っている
だけど、それがどうしたというのだ
きみはずるくはないのか
だれだってずるいのだ
だれもおもいやりなど持ってはいない
ぼくだけじゃない
ぼくの好物は鯖の味噌煮にすぎない
それをだれが辱しめられるだろう
教えておくれ
もし死刑囚が死に値するかどうかを
投票された市長が決めるというのなら
ぼくの愛の不毛を
だれが定規で測れるだろう
だれにもわからない
だれもだれを救うこともできない
きみのうちの猫は
元気になれるだろうか
どうかきみを悲しませたりしませんように
冬の寒さで
きみの手が凍えたりしませんように
うそのない願いが
ただそれだけであれば
ぼくもすこしは影ある男であれることだろう
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