寒雷/
健
夜の紺色に
黒ずんだ雲がかかり
死んだような空
どれだけ早く走っても
生まれる風は
どこへも連れて行ってくれない
ただ
頬を氷のように撫でていく
帰ってきてしまう
暖房の効いた部屋に
戻るだけ
では
独りに変わりはないのに
自由と束縛と
本当は
どちらが在るべきか
思い知った時
冬の雷の
強烈な光が
北の空を切り裂いて
その音は
どこにも届かなかった
戻る
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