雪の女王/和泉 誠
 
冷たく輝くドレスをまとい
氷でできた玉座に座る
彼女は雪の女王

血の通った若い男達から
その温もりを奪うのが彼女の仕事

誰もが恐れる冬の国に
迷い込んだ 一人の少年

雪の女王を見て 少年は言った
「どうしてあなたはいつも一人なの?」

「私が近づくとみんな死んでしまうから」
生意気な少年を見て 彼女は答えた

「僕は大丈夫だよ」
「その理由は?」
「分からないけど 大丈夫」

そう言って差し伸べられた手は
彼女の冷たい手より ずっと温かくて

「近づかないで 溶けてしまうわ」
「大丈夫だよ」
「これ以上 近づかないで」

抱きしめられた彼女は
跡形もなく消えてしまった

雪の女王はたった今死んだ
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