行き場/
岡村明子
分厚い本を閉じて
黴臭いじゅうたんに横たわる
天井に時がうつっている
そうだ
君は正しい
はためくカーテンの向こうに
君のいる世間がある
誰とも会わないので
自分がひとりかどうかも数えられない
何かがなくなったようで
最初からなかったような
時間が経っているようで
いつしか戻っているような
不安も
孤独もなく
満たされもせず
四方の壁が私の思考を乱反射して行き場がない
朝の光がこぼれている
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