隙間風/羽音-fine-
 

窓の結露凍りついて
真っ白な外の明るさだけを吸い込み
隙間を縫って走る風を
あちらからどうぞと招いてみた

そうやって一人を招いたら
調子付かれて大勢の風達が
集まって寒さへと名を変えて
暖房のないこの部屋へ居座り始めた

雪原が生む真っ白な光は
世に溢れるどんな白よりも白く
漂白剤なんかじゃ絶対に出せないような
温度と感性を含んだ白

それでも居座られると困るわけで
何故ってこの部屋が暖かいから
冬は誰でも温もりを求めるものかと
許しはしないが諦めた


なんの疑いもなしにひとつを信じれば
たくさんの中に紛れた嘘が
知らぬ間に自分の近くに居座り積もり
放っておけば最後まで残って
辛さと哀しさを生み出すのだなあと
敷き詰められた雪に問いてみた

凍っていた窓の結露が
ひとつ
ふたつと
零れ始めた
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