朝は優しく降り積もる。/かおり
隣りの家は工事中。
古い一軒家を
賃貸アパートに
建て替えるらしい。
毎日
朝から
トンテン カンテン、
ゴォー ブルルルル。
5時。
公園から
チャイムと共に
夕焼け小焼けの
メロディーが流れて
肉体労働者は
軽く
安堵のため息をつく。
夕食を終え
1日の雑事から解放された
わたしは
静まった
夜の街を眺める。
昼間の
工事の音が嘘のように
無音の中、
深い
ため息は
白くなって
青黒い空へと消えた。
わたしは
いつだって
わたしのままでいい。
軽いビールを
あおって
明け方近くに
眠りに着く頃
隣りの工事は、
また始まる。
朝は。
朝は、
誰にも
優しく降り積もる。
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