名前の無い涙のために/
ベンジャミン
疲れ果てて座り込んでいた
あなたは
公園のベンチで
まるで影が貼りついているみたいに
立ち上がることができないほどの
そんな悲しみでした
いつしかそれは
頬つたう涙となって
あなたの顔の曲線を
滑らかに描いてみせた
けれど
呼び止めるための
名前を知らない
僕はただ
抱きしめることしか
できませんでした
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