真夜中の疾走/炭本 樹宏
突然走りたくなる衝動にかられた
真夜中の街灯が灯る住宅地を
気温5度の中を疾走した
思いのほか身体が軽い
夜の冷気が心地よい
トラックが走る横を通りすぎる
排気ガスをもろに吸う
吐き気がした
普段気にならない
街の空気はけがれていることを
この身に感じる
息が切れる
息が苦しい
苦しみは快楽になる
ただ走るだけ
理由なんてない
心に溜まった膿を
燃やすように
僕は街の風景を横目に見ながら
僕は前だけをみて走った
それだけのことだ
意味は後からついてくるだろう
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