渡り銀杏/小池房枝
 
  空をイチョウが渡っていった
  最初は一枚
  次には乱舞

  真上を通った瞬間に
  くるくるイチョウの形が見えた

  落ちてきながら
  落ちてはこずに

  真昼にさざめく星たちを
  見ているようで変だった

  地上の用事に数秒かかって
  も一度見たらばいなかった

  風をいくつも渡り換え
  イチョウはどこまで行っただろう

  どこまで行ったものやら彼ら
  けっこう旅をしてそうです

空は重ならない風でいっぱいだ
いっぱいなのだろうか
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