crimson darkness/あめ
 
凡てを抱き締めたはずのこの腕
気が付けばももいろの

ワンピースだけがゆらり 
、揺らめいて


ただそれだけ。


理由なぞとうに理解って居て
とろり柔らかな温度と 共にまた

あのくらやみの中融けて
、往ってしまって


(噛み締めたわたしの唇のかたち
 確かめる程の白さも此処にはどうしようも無く失われて居て)


遠く見つめたそのさきで

裂けた隙間がわたしを嘲笑った
あざ笑った、様に見えたので


(そう其れはただここに居てはいけないと云う
 ただここにいてはいけないという
 ただ其れだけのひめいでしか無かったと云うのに)


脳内

ずるり叩きつけるみたいな
耳障りな声と唇 と黒いめ

(ただ此処に居てはいけない、のだと)

(ひめいでしか無かったと云うのに)
戻る   Point(1)