ノート(42Y.12・5)/木立 悟
 




海へと向かう夜を見ていた
蒼い蒼い
光を見ていた


光をぬぐう水の手が
冷たい曇に触れていき
たくさんの小さな影をつくった


影は夜通し降りつづけ
肌の上で
うたになった


しるべなくして
ながれつくおと
すずなりになれ
またたきになれ

たえてはうまれ
ながれゆくみず
きんぎんになれ
てのひらになれ


うたを染める朝を見ていた
蒼い蒼い
海を見ていた










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