空色遊園地/ヤギ
うつぶせに寝た彼の下祖父帰る
驚いた家族「おかえりなさい祖父」
ワシとても腹が減ってる飯をくれ
ちゃぶ台で本人囲み三回忌
あの世には吉永小百合五人いた
父は母母は娘の頬つねり
お前らはサザエさんかと黄泉ツッコミ
あれじゃろう、多分少しの夢じゃろう
話したいことがあったはずなんだけど
やや透けた祖父とテレビを見て眠り
*
空色の風船の群れ呼ぶピエロ
温かいポップコーンと父と母
塗り直す回転木馬写す眼を
観覧車朝焼けの街三年目
*
流木にさして願いはないそうな
墨色の空はさざざざ波の底
黒土の木々と私の無愛想
流木の浜に上がるに寄せて引く
愛しみも憎しみもなく空怖い
うそ重いみぞれうそ重いみぞれ
尻濡れる冷たく黒く背も濡れる
*
泣いても怒っても悲しむのはひとり
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