空色遊園地/ヤギ
 
うつぶせに寝た彼の下祖父帰る

驚いた家族「おかえりなさい祖父」

ワシとても腹が減ってる飯をくれ

ちゃぶ台で本人囲み三回忌

あの世には吉永小百合五人いた

父は母母は娘の頬つねり

お前らはサザエさんかと黄泉ツッコミ

あれじゃろう、多分少しの夢じゃろう

話したいことがあったはずなんだけど

やや透けた祖父とテレビを見て眠り







空色の風船の群れ呼ぶピエロ

温かいポップコーンと父と母

塗り直す回転木馬写す眼を

観覧車朝焼けの街三年目







流木にさして願いはないそうな

墨色の空はさざざざ波の底

黒土の木々と私の無愛想

流木の浜に上がるに寄せて引く

愛しみも憎しみもなく空怖い

うそ重いみぞれうそ重いみぞれ

尻濡れる冷たく黒く背も濡れる







泣いても怒っても悲しむのはひとり



戻る   Point(6)