明日僕は戦車に乗って/Yuno
戦場を駆け巡る誰かのうちの一人になる。
自我も何もないただの独りになる。
それから、自己を誇示する術を知らない馬鹿な一人になる
そして僕は同じような誰かを殺す。
一人一人、確実に僕は人を殺していく。
ふと思った、同じそらなのに、どうして僕の目にはその空の色は美しく見えないのかな。
あんなに大好きだった雲の動きも、今じゃ殺される要因の一つじゃないか。
僕が見るべきものは、僕がするべきことは。
空を見て呆ける 人をみて殺す
そして僕はまた僕ではなくなっていく。
声を聞けないこの空でただ一人、爆弾よりも戦車よりも大きな声を出す。
奇跡みたいだ。
奇跡みたいだけど、奇跡じゃない。僕の食道をつぶすぐらいの勢いで空気を吐き出した。
それから僕は泣いた。
そして、人を殺した。
誰でもない僕は泣きながら叫びながら人を殺した。
その先に君を見た。
僕も殺された。
一瞬で、肉片になる。
もう一度叫ぼうと思った。
けれど、僕にはもう空気を溜めて吐き出すことさえ出来なかった。
僕は死んだ。
無になった。
そして一人。
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