ガキのころ、宇宙船に乗った/角田寿星
 
ニキ風を吹かしていたが
ガッコでは 誰からも相手にされない貧乏ヘタレだった。
そういやマンガのあの子は 自分の部屋の押し入れだったんだ。
オレたち仲間で 自分の部屋を持ってるヤツはひとりもいなかった。

弟とふたり 家に戻って
母ちゃんに殴られるのを覚悟で
押し入れの布団 ガラクタ 重たい写真アルバム 端切れの入った段ボール
散らかった六畳間にぶちまけて
宇宙船のコックピットを確保する。
体を捩じまげて登る。うまく登れない弟がベソをかいている。
ビリビリのフスマ戸を閉める。
真っ暗になって 弟と汗臭い肌を寄せあう。

さあ 出発だ。

戻る   Point(2)