ガキのころ、宇宙船に乗った/角田寿星
半年前の ボロボロの少年マンガ雑誌
弟とふたり 飽きもせず同じとこばっか読んでた。
少年が押し入れを開ける。押し入れにはいる。
するともうそこは宇宙船のコックピットで
綿毛のカタマリにシッポの生えたドーブツといっしょに
宇宙を駆ける。
かいつまんでしまえば 他愛もない内容のマンガで
オレと弟はいつまでもむさぼり読んでた。
ぬかるみにまみれたオンボロ県営住宅で
どこの家も くだらない小物で散乱してて
サイダーとビールの空き瓶ケースが踊り場を占領してた。
そして押し入れはひとつきりしかなかった。
オレは県営住宅では年長でアニキ
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