裸の王様/和泉 誠
その頭には黄金の冠
威厳に満ちた白銀の顎髭
宝石をちりばめた衣服をまとい
真紅のマントをはためかす
この世界で一番偉大な王
人はその姿を見て
さもおかしそうにあざ笑う
その男 ぼろ切れ一枚に もじゃもじゃ頭
そのくせ威風堂々
道の真ん中を 一歩一歩肩をいからせ踏みしめる
目をつぶり
耳をふさげば
目の前に仕掛けられた
子どものいたずらにも気が付くまい
いかめしい眉間
ひきしまった口元
立派な衣装を着せてあげれば
みんな彼にひれ伏すだろうに
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