放火魔の小便/カンチェルスキス
 


  

 段ボールの切れ端から
 夢を見た


 やさしさに包まれた炎
 どんどん燃えていく民家
 煙を感じるはじめての


 あれは炎だ
 単なる火であり、炎だ


 木材の燃える、炎、集合体、それ


 骨折のギプス野郎を
 叩きのめした、冬だ
 思い出した



 プールの底から
 もやもやとした明かりだけ
 見えてる感じだ
 あれは炎だろう



 昼間、届いた街の図書館から
 本の返却を促すハガキが、
 手に取ったらひんやりとした

 

 それから


 おれは胃から漏らした
 呆れるぐらい臭い
 放火魔の小便


 

 
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